國清尚之さん
H24年(2012年)卒業 #第40回記念寄稿

私が初めて東京かたばみ会に参加したのは9年前である。
当時、大学院生であった私は、巨大な宴会場とたくさんの先輩方の姿に圧倒される、等身大の人間であったことを覚えている。
一方、年を取るにつれて、自分の存在が大きくなったと錯覚することが増えてきた。
それは、等身大から脱した瞬間であり、他人にとっての自分だけが未来に遠く飛ばされたような、そんな感覚である。
私はそれが、”一個人が社会と接続する”ことであると考えている。
私にとって、東京かたばみ会とは、等身大の自分のまま偉大なる先輩方の功績に憧れ、射程を再確認できる機会である。ここに来るたびに、同郷の先輩方との繋がりを認識できる。いろいろな世代が集まっている時点で、全く同じ過去を共有する事は難しいが、今を起点に未来を一緒に作っていくことはできる。
私自身のことを少し紹介すると、都内の設計事務所に勤めている7年目のスタッフである。私が師事している建築家・藤本壮介は世界的建築家と呼ばれ、今年4月13日に開幕した「Expo2025 大阪・関西万博」の会場デザインプロデューサーを務めている。私は、そのプロジェクトの主担当として、5年に渡り会場全体の計画に関わってきた。
万博とは、各分野のプロフェッショナルが、国を代表して何かを作り、世界と交流する。
内部から見ていた私の所感では、彼らは世間的な批判に晒されながらも、世界や未来への射程を見誤らずにモノやコトを作り出していた。この時代のこの国の希望とも言える、最前線のかっこいい大人たちの生き様であったと思う。万博が開幕を迎えて、次に私が思う事は、その最前線に一個人としての私が立っていけるのかという事である。それは夢や目標ではなく、覚悟の問題である。決して、華々しい名声や輝かしい勲章を求める話ではない。誰よりも傷だらけになってでも、多くの人たちの今を変える未来に向けたビジョンを、建築を通して実践できるかどうかである。
本日、私は、等身大である自分と、未来へ羽ばたこうとする自分の両方を繋ぎ合わせながらこの場所に参加している。未来へ羽ばたこうとする時、私は偉大なる同郷の先輩方の功績を借りている。その功績を借りることで、未来の自分を、等身大の自分に接続させて想像することができる。
次の時代、より多くの後輩にとっての未来に私の姿を借りてもらえるように、研鑽を積み続けていきたいと思っている。