志賀(重藤)さわ子さん
H6年(1994年)卒業 #第40回記念寄稿

高校時代、片道8km近くを毎日自転車で行き来するだけの日々。地域の良さなんてわからないし、考えたこともなく、ただ何となく宇部の外に出ることを考えていた。
大学で京都へ。大学生活は満喫したものの、将来を考え始めて気づいた気の滅入る現実や閉塞感から逃げるように海外でPhDを取得することにした。海外にまで行って、世界中の色んな境遇の友達と今や未来を語り合いわかったこと。結局どこにいても、どこに行っても自分は自分だが、その自分がどこから来たのか、という原点は大事だ。その思いは、クリスチャンの友人とどこの大聖堂だったか忘れたが、訪れたときに、その友人が感動で涙しながら十字を切っている姿を見て、強烈に胸によぎった。私も感動したが、彼女と同じ感動は分かち合えない。それは原点が異なるからだ。
現在、私は地域環境経済学を専門とし、地球環境問題から地域の活性化まで、幅広く研究・教育に取り組む一方で、持続可能な地域づくりに向けた主体的な活動の支援にも力を入れている。そして、宇部で生まれ育ったという原点が、間違いなく今のキャリアの礎となっている。
個人的な原点は、小学校低学年の頃に夢中になって遊んでいた農業用水路の豊かな生き物たちが、農村基盤整備事業によるコンクリート三面張り化によって突如として姿を消してしまったことである。また、宇部という地域がたどってきた変遷そのものも、私の原点の一つとなっている。かつてあった炭鉱という地域資源を活用し、工業都市としての発展につなげたが、その後深刻化した大気汚染を「宇部方式」という産官学民一体の独自の素晴らしい取組みで克服したこと。企業城下町としての盛衰を経た今、化学コンビナートを有する地域の脱炭素という困難に挑戦していること。 宇部は私の原点だ。だからこそ、宇部が直面する課題や、そこにある感動を自然と分かち合えるはずだ。私の専門である「持続可能な地域づくり」も、宇部の未来とともに考えていきたい。